日本国著作権法とConvention de Berne pour la protection des oeuvres litterailes et artistiquesを対照し、理解を深めたい。

2007年12月26日水曜日

著作権法 第1章 第1節 第2条 第8号 放送の定義 第9号 放送事業者の定義

八 放送 公衆送信のうち、公衆によつて同一の内容の送信が同時に受信されることを目的として行う無線通信の送信をいう。
 
九 放送事業者 放送を業として行なう者をいう。


「放送」と「放送事業者」に関する定義はきわめてシンプルかつわかりやすい。
「同一内容の同時受信」というBroadcastの本質を表す表現で事足りるが、次号以降の「有線放送」や「自動公衆送信」の定義になるとより厄介になる。

ベルヌ条約によると
(1) Les auteurs d’œuvres littéraires et artistiques jouissent du droit exclusif d’autoriser:
(i) la radiodiffusion de leurs œuvres ou la communication publique de ces œuvres par tout autre moyen servant à diffuser sans fil les signes, les sons ou les images;

(1)文学及び芸術作品の作者は、次のことを許諾する排他的権利を享有する。
(i)作品を放送すること、又は作品を、記号、音若しくは影像を無線で送るその他の手段により、公に伝達すること。
ということだが、「放送」の定義についてはWPPT第2条に最新の定義がある。
f) “radiodiffusion” la transmission sans fil de sons ou d’images et de sons, ou des représentations de ceux-ci, aux fins de réception par le public; ce terme désigne aussi une transmission de cette nature effectuée par satellite; la transmission de signaux cryptés est assimilée à la “radiodiffusion” lorsque les moyens de décryptage sont fournis au public par l’organisme de radiodiffusion ou avec son consentement;
(f) 「放送」とは、公衆によって受信されることを目的とする無線による音の送信、影像及び音の送信又はこれらの上演の送信をいう。衛星によるこれらの送信も「放送」である。暗号化された信号の送信は、暗号解除の手段が放送機関により又はその同意を得て公衆に提供される場合には、「放送」である。

2007年12月25日火曜日

著作権法 第1章 第1節 第2条 第7号の2 公衆送信の定義

「公衆送信」とは著作権法上では「放送」、「有線放送」、「自動公衆送信」の三つに分けられ、公衆に対して作品を送信する事をいいます。
その手段がBroadcastすなわちBroad(広範に)Cast(送り出す)の名前が示すとおり
「公衆に対して同一の情報を一斉に送信するものと、ファックスサービスやインターネットのホームページのように公衆のアクセスに応じて個々に情報を送るもの」(著作権逐条講義29p)
大別すると
・放送(無線による放送)-有線放送(有線による放送)
・自動公衆送信(オンディマンドタイプ)
の二つに分かれる。

1997年の著作権法改正において、従来の「有線放送」を含む「有線送信」と「放送」など送信全体を示す概念として「公衆送信」という定義がつくられた。

海外では「放送」と「有線放送」が区別されており、著作権法上の取り扱いが違う国もあるので、「公衆送信」と大きく括っておいて、その中で「放送」と「有線放送」そしてIPマルチキャストを含むVODサービスなども包含した「自動公衆送信」という定義が導入された。

条文を見てみよう
七の二 公衆送信 公衆によつて直接受信されることを目的として無線通信又は有線電気通信の送信(電気通信設備で、その一の部分の設置の場所が他の部分の設置の場所と同一の構内(その構内が二以上の者の占有に属している場合には、同一の者の占有に属する区域内)にあるものによる送信(プログラムの著作物の送信を除く。)を除く。)を行うことをいう。

非常にややこしい。
整理すると
「公衆によつて直接受信されることを目的として無線通信又は有線電気通信の送信を行うことをいう。」
ということだけなのだが
「電気通信設備で、その一の部分の設置の場所が他の部分の設置の場所と同一の構内(その構内が二以上の者の占有に属している場合には、同一の者の占有に属する区域内)にあるものによる送信(プログラムの著作物の送信を除く。)を除く。)」
こういうややこしい条文の場合は加戸先生の「著作権逐条講義」にあたらないと話がわからない。
「もともとはコンサートなどで歌手が歌をマイクを通して歌った場合に、前にいる人はその歌手の歌唱を聴いていますけれども、後ろにいる人はスピーカーという受信装置を通じて公衆送信を聴いているということになりかねませんが、この場合には公衆送信という概念で押さえるのはおかしかろうということで、少なくとも同一構内で行われている限りは公衆送信という概念をとらない」(著作権逐条講義31p)
さらに、「その構内が二以上の者の占有に属している場合には、同一の者の占有に属する区域内」とは、一つのビルの中で1階、2階、3階がある事業者によって占有され、たとえば1階の演奏が2階、3階にも流されている場合には「演奏」と評価する。という事です。

プログラムの著作物の送信を除く」という文言は、たとえば一つのビルの中である会社が1階、2階、3階を占有しており、各フロアのPCがLANで結ばれている場合、その会社の1つのPCにインストールしたプログラムが他のフロアのPCから自由に使われるというケースがある。これはプログラムの著作者に経済的不利益を与えることが考えられるので」(著作権逐条講義32p)挿入されたということです。

公衆送信=Public communicationという事であるならば、これはベルヌ条約で規定されている。
Article 11bis Droits de radiodiffusion et droits connexes:

(1) Les auteurs d’œuvres littéraires et artistiques jouissent du droit exclusif d’autoriser:
(i) la radiodiffusion de leurs œuvres ou la communication publique de ces œuvres par tout autre moyen servant à diffuser sans fil les signes, les sons ou les images;
(ii) toute communication publique, soit par fil, soit sans fil, de l’œuvre radiodiffusée, lorsque cette communication est faite par un autre organisme que celui d’origine;
(iii) la communication publique, par haut–parleur ou par tout autre instrument analogue transmetteur de signes, de sons ou d’images, de l’œuvre radiodiffusée.


(1)
文学及び芸術作品の作者は、次のことを許諾する排他的権利を享有する。
(i)
作品を放送すること、又は作品を、記号、音若しくは影像を無線で送るその他の手段により、公に伝達すること。
(ii)
放送された番組を元の放送機関以外の機関が有線又は無線で公に伝達すること。
(iii)
放送された番組を、拡声機又は記号、音若しくは影像を伝えるその他の類似の器具を用いて、公に伝達すること。

著作権法 第1章 第1節 第2条 第5号 レコードの定義 第6号レコード製作者の定義 第7号商業用レコードの定義

既に古語となりつつあるが、著作権法上ではしっかりと存在している「レコード」である。

五 レコード 蓄音機用音盤、録音テープその他の物に音を固定したもの(音をもつぱら影像とともに再生することを目的とするものを除く。)をいう。
六 レコード製作者 レコードに固定されている音を最初に固定した者をいう。
七 商業用レコード 市販の目的をもつて製作されるレコードの複製物をいう。


蓄音機用音盤と書いてレコードを想像できる人はこれからどんどん少なくなっていくだろうなぁ…
著作権法では「レコード」と「固定」の概念を一つの定義で済ませているが、WPPTでは別個に定義を立てている。

Traité de l’OMPI sur les interprétationset exécutions et les phonogrammes
Article 2
b) “phonogramme” la fixation des sons provenant d’une interprétation ou exécution ou d’autres sons, ou d’une représentation de sons autre que sous la forme d’une fixation incorporée dans une œuvre cinématographique ou une autre œuvre audiovisuelle;

c) “fixation” l’incorporation de sons, ou des représen
tations de ceux-ci, dans un support qui permette de les percevoir, de les reproduire ou de les communiquer à l’aide d’un dispositif;

d) “producteur d’un phonogramme” la personne physique ou morale qui prend l’initiative et assume la responsabilité de la première fixation des sons provenant d’une interprétation ou exécution ou d’autres sons, ou des représentations de sons;

(b)
「レコード」とは、実演の音その他の音又は音を表すものの固定物(映画その他の視聴覚的著作物に組み込まれて固定されたものを除く。)をいう。
(c)
「固定物」とは、音又は音を表すものの収録物であって、装置を用いることにより知覚し、再生し又は伝達することができるものをいう。

(d)
「レコード製作者」とは、実演の音その他の音又は音を表すものの最初の固定について主導し、かつ、責任を有する自然人又は法人をいう。


WPPTの定義の方が「主導し、かつ、責任を有する」qui prend l’initiative et assume la responsabilité としているため、より明確なものになっている。

著作権法 第1章 第1節 第2条 第4号 実演家の定義

四 実演家 俳優、舞踊家、演奏家、歌手その他実演を行なう者及び実演を指揮し、又は演出する者をいう。

ここも「非限定的リスト」が登場するが、もちろん「その他実演を行う者」という語句で例示以外の実演家の存在に言及されている。
さらに、実演を指揮し(オーケストラの指揮者)または演出するもの(演出家)等の
「実演を行っているのと同じ状態にあるもの」(著作権法逐条講義25p)も実演家だという考え方をとっている。

「実演家」の権利は著作隣接権であるため、ベルヌ条約には規定はなく、WPPT第2条(a)項に設けられている。
Traité de l’OMPI sur les interprétationset exécutions et les phonogrammes (WPPT)
a) “artistes interprètes ou exécutants” les acteurs, chanteurs, musiciens, danseurs et autres personnes qui représentent, chantent, récitent, déclament, jouent, interprètent ou exécutent de toute autre manière des œuvres littéraires ou artistiques ou des expressions du folklore;

「実演家」とは、俳優、歌手、演奏家(音楽家?)、舞踊家その他文学もしくは芸術作品又は民間伝承の表現を上演し、歌唱し、口演し、朗詠し、演奏し、演出し又はその他の方法によって実演する者をいう。

細かい指摘では「演奏家」という部分に疑問が出る。原文ではmusiciensなので素直に考えると「音楽家」が相応しいのだろうが、文脈からするとmusiciens=作者ではなく演奏を担当する者という扱いだろう。

2007年12月19日水曜日

著作権法 第1章 第1節 第2条 第3号 実演の定義

三 実演 著作物を、演劇的に演じ、舞い、演奏し、歌い、口演し、朗詠し、又はその他の方法により演ずること(これらに類する行為で、著作物を演じないが芸能的な性質を有するものを含む。)をいう。

「演劇的に演じ」
「舞い」
「演奏し」
「歌い」
「口演し」
「朗詠し」
「その他の方法により演ずる」
さらにこの非限定的なリストは「これらに類する行為で、著作物を演じないが(演じないにも関わらず)芸能的な性質を有するもの」は実演とされるわけだ。
加戸先生はこれらの例として「奇術・曲芸・腹話術・物真似というようなものが典型的な例」だとしておられる。さらに、それはプロ・アマを問わずにそうなのだという事で…
さらに、スポーツ選手が行う競技たとえばフィギュアスケートのフリーの演技は実演ではないが、その選手が引退してプロとなり、Holiday on Iceのようなショーの中で演技をする場合は「実演」になるのだという指摘をされている。

実演に関してはベルヌ条約には特段の定義はないが、最新の定義はWPPT(実演及びレコードに関する世界知的所有権機関条約)の定義にある。
2(a) “performers” are actors, singers, musicians, dancers, and other persons who act, sing, deliver, declaim, play in, interpret, or otherwise perform literary or artistic works or expressions of folklore;
「実演家」とは俳優、歌手、音楽家、舞踏家及びその他「文学もしくは芸術作品」または「民間伝承の表現」を演じ、歌い、口演し、朗詠し、演奏し、演奏しまたその他の方法にて実演するものをいう。

著作権法 第1章 第1節 第2条 第2号 著作者の定義

著作者 著作物を創作する者をいう。

日本国著作権法では著作者を「自然人」にとどめず、「法人」も著作者に含めている。
関連条項は第15条にある。

1 法人その他使用者(以下この条において「法人等」という。)の発意に基づきその法人等の業務に従事する者が職務上作成する著作物(プログラムの著作物を除く。)で、その法人等が自己の著作の名義の下に公表するものの著作者は、その作成の時における契約、勤務規則その他に別段の定めがない限り、その法人等とする。
2 法人等の発意に基づきその法人等の業務に従事する者が職務上作成するプログラムの著作物の著作者は、その作成の時における契約、勤務規則その他に別段の定めがない限り、その法人等とする。


一方で、ベルヌ条約では著作物とは「知的創作物」とみなされているので、そのような「知的創作行為」を行えるものが「著作者」であると認識されている。
従ってそのような知的創作行為を自ら行えない「法人」は「著作者の概念には含まれない」
ベルヌ条約第2条第6項
(6) Les œuvres mentionnées ci–dessus jouissent de la protection dans tous les pays de l’Union. Cette protection s’exerce au profit de l’auteur et de ses ayants droit.
上記に述べられた作品は全ての同盟国において保護を享有する。この保護は著作者およびその承継人のために実行される。

映画の著作物(映画作品)についての著作者の定義は第14条の続き、第1項に示されている。
(2)(a) La détermination des titulaires du droit d’auteur sur l’œuvre cinématographique est réservée à la législation du pays où la protection est réclamée.
映画作品の著作権保有者を決定することは、保護が要求される国の法律に委ねられている。

2007年12月18日火曜日

著作権法 第1章 第1節 第2条 第1号 著作物の定義

一 著作物
思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう。

新著作権法で初めて規定ができた。
「思想又は感情」が含まれていない事実やデータの羅列は著作物ではない(が、しかしこれらの事実やデータをある意図のもとに編集したものは「編集の著作物」となる)
「創作的に表現」という事では、キャッチフレーズやスローガン、題名などは「創作的な表現ではない」と「著作権逐条講義」の加戸守行先生は書いておられるが、最近のコピーライター諸氏の生み出すコピーに「著作権」がないというのは少々疑問だ。(最近では一概に「無い」ともいえないようではある)
また、「表現」という言葉にも様々な解釈があるようだ。画風等の表現方法とはというもので、これが故に侵害が成立するかしないかが判断される。
「文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの」すなわち「文芸及び芸術作品」というベルヌ条約の第1条の記載につながる。
しかし、フランス語だと「作品」という明確な語があるのに対し、日本語では「もの」というなんともあいまいな表現になっており、改めて日本語表現の不確実さが見える。

あと、もう一つ重要なことは「音楽の範囲」に属しながらも、アメリカと違い日本の著作権法では「固定」の概念が映画に対するもの以外には無いため、即興演奏すらも著作物として認定されるのだ。

これに対応するベルヌ条約は
Article 2
Œuvres protégées:
1. «Œuvres littéraires et artistiques»;
(1) Les termes «œuvres littéraires et artistiques» comprennent toutes les productions du domaine littéraire, scientifique et artistique, quel qu’en soit le mode ou la forme d’expression, telles que: les livres, brochures et autres écrits; les conférences, allocutions, sermons et autres œuvres de même nature; les œuvres dramatiques ou dramatico–musicales; les œuvres chorégraphiques et les pantomimes; les compositions musicales avec ou sans paroles; les œuvres cinématographiques, auxquelles sont assimilées les œuvres exprimées par un procédé analogue à la cinématographie; les œuvres de dessin, de peinture, d’architecture, de sculpture, de gravure, de lithographie; les œuvres photographiques, auxquelles sont assimilées les œuvres exprimées par un procédé analogue à la photographie; les œuvres des arts appliqués; les illustrations, les cartes géographiques; les plans, croquis et ouvrages plastiques relatifs à la géographie, à la topographie, à l’architecture ou aux sciences.
「文学及び芸術作品」という語句には、表現方法や表現形式のいかんを問わず、文学、学術および芸術分野の全ての生産物が含まれる。
すなわち
書籍、小冊子及びその他の文書、講演、演説、(宗教的な)説教、その他左記と同様の性質を持つ作品。
演劇もしくは楽劇作品、舞踏及びパントマイム作品。
歌詞を伴う/伴わない楽曲、
映画、映画に類似する手法で表現された作品
デッサン、絵画、建築、彫刻、版画、リトグラフ、写真、写真に類似する手法で表現された作品、応用美術の作品、地理学や地形学、建築学やその他の科学に関連するイラスト、地図、図解、略図、プラスチック模型

日本の著作権法では2項以下でそれらを詳述しているので、ベルヌ条約の記述も後に再掲する予定。

著作権法 第1章 第1節 第2条 定義

この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
 
一 著作物 思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう。
 
二 著作者 著作物を創作する者をいう。
三 実演 著作物を、演劇的に演じ、舞い、演奏し、歌い、口演し、朗詠し、又はその他の方法により演ずること(これらに類する行為で、著作物を演じないが芸能的な性質を有するものを含む。)をいう。
四 実演家 俳優、舞踊家、演奏家、歌手その他実演を行なう者及び実演を指揮し、又は演出する者をいう。
五 レコード 蓄音機用音盤、録音テープその他の物に音を固定したもの(音をもつぱら影像とともに再生することを目的とするものを除く。)をいう。
六 レコード製作者 レコードに固定されている音を最初に固定した者をいう。
七 商業用レコード 市販の目的をもつて製作されるレコードの複製物をいう。
七の二 公衆送信 公衆によつて直接受信されることを目的として無線通信又は有線電気通信の送信(電気通信設備で、その一の部分の設置の場所が他の部分の設置の場所と同一の構内(その構内が二以上の者の占有に属している場合には、同一の者の占有に属する区域内)にあるものによる送信(プログラムの著作物の送信を除く。)を除く。)を行うことをいう。
 
八 放送 公衆送信のうち、公衆によつて同一の内容の送信が同時に受信されることを目的として行う無線通信の送信をいう。
 
九 放送事業者 放送を業として行なう者をいう。
 
九の二 有線放送 公衆送信のうち、公衆によつて同一の内容の送信が同時に受信されることを目的として行う有線電気通信の送信をいう。
 
九の三 有線放送事業者 有線放送を業として行う者をいう。
 
九の四 自動公衆送信 公衆送信のうち、公衆からの求めに応じ自動的に行うもの(放送又は有線放送に該当するものを除く。)をいう。
 
九の五 送信可能化 次のいずれかに掲げる行為により自動公衆送信し得るようにすることをいう。

公衆の用に供されている電気通信回線に接続している自動公衆送信装置(公衆の用に供する電気通信回線に接続することにより、その記録媒体のうち自動公衆送信の用に供する部分(以下この号において「公衆送信用記録媒体」という。)に記録され、又は当該装置に入力される情報を自動公衆送信する機能を有する装置をいう。以下同じ。)の公衆送信用記録媒体に情報を記録し、情報が記録された記録媒体を当該自動公衆送信装置の公衆送信用記録媒体として加え、若しくは情報が記録された記録媒体を当該自動公衆送信装置の公衆送信用記録媒体に変換し、又は当該自動公衆送信装置に情報を入力すること。

その公衆送信用記録媒体に情報が記録され、又は当該自動公衆送信装置に情報が入力されている自動公衆送信装置について、公衆の用に供されている電気通信回線への接続(配線、自動公衆送信装置の始動、送受信用プログラムの起動その他の一連の行為により行われる場合には、当該一連の行為のうち最後のものをいう。)を行うこと。
 
十 映画製作者 映画の著作物の製作に発意と責任を有する者をいう。
 
十の二 プログラム 電子計算機を機能させて一の結果を得ることができるようにこれに対する指令を組み合わせたものとして表現したものをいう。
 
十の三 データベース 論文、数値、図形その他の情報の集合物であつて、それらの情報を電子計算機を用いて検索することができるように体系的に構成したものをいう。
 
十一 二次的著作物 著作物を翻訳し、編曲し、若しくは変形し、又は脚色し、映画化し、その他翻案することにより創作した著作物をいう。
 
十二 共同著作物 二人以上の者が共同して創作した著作物であつて、その各人の寄与を分離して個別的に利用することができないものをいう。
十三 録音 音を物に固定し、又はその固定物を増製することをいう。
十四 録画 影像を連続して物に固定し、又はその固定物を増製することをいう。
十五 複製 印刷、写真、複写、録音、録画その他の方法により有形的に再製することをいい、次に掲げるものについては、それぞれ次に掲げる行為を含むものとする。

脚本その他これに類する演劇用の著作物 当該著作物の上演、放送又は有線放送を録音し、又は録画すること。

建築の著作物 建築に関する図面に従つて建築物を完成すること。
十六 上演 演奏(歌唱を含む。以下同じ。)以外の方法により著作物を演ずることをいう。
十七 上映 著作物(公衆送信されるものを除く。)を映写幕その他の物に映写することをいい、これに伴つて映画の著作物において固定されている音を再生することを含むものとする。
十八 口述 朗読その他の方法により著作物を口頭で伝達すること(実演に該当するものを除く。)をいう。
十九 頒布 有償であるか又は無償であるかを問わず、複製物を公衆に譲渡し、又は貸与することをいい、映画の著作物又は映画の著作物において複製されている著作物にあつては、これらの著作物を公衆に提示することを目的として当該映画の著作物の複製物を譲渡し、又は貸与することを含むものとする。
二十 技術的保護手段 電子的方法、磁気的方法その他の人の知覚によつて認識することができない方法(次号において「電磁的方法」という。)により、第十七条第一項に規定する著作者人格権若しくは著作権又は第八十九条第一項に規定する実演家人格権若しくは同条第六項に規定する著作隣接権(以下この号において「著作権等」という。)を侵害する行為の防止又は抑止(著作権等を侵害する行為の結果に著しい障害を生じさせることによる当該行為の抑止をいう。第三十条第一項第二号において同じ。)をする手段(著作権等を有する者の意思に基づくことなく用いられているものを除く。)であつて、著作物、実演、レコード、放送又は有線放送(次号において「著作物等」という。)の利用(著作者又は実演家の同意を得ないで行つたとしたならば著作者人格権又は実演家人格権の侵害となるべき行為を含む。)に際しこれに用いられる機器が特定の反応をする信号を著作物、実演、レコード又は放送若しくは有線放送に係る音若しくは影像とともに記録媒体に記録し、又は送信する方式によるものをいう。
二十一 権利管理情報 第十七条第一項に規定する著作者人格権若しくは著作権又は第八十九条第一項から第四項までの権利(以下この号において「著作権等」という。)に関する情報であつて、イからハまでのいずれかに該当するもののうち、電磁的方法により著作物、実演、レコード又は放送若しくは有線放送に係る音若しくは影像とともに記録媒体に記録され、又は送信されるもの(著作物等の利用状況の把握、著作物等の利用の許諾に係る事務処理その他の著作物等の管理(電子計算機によるものに限る。)に用いられていないものを除く。)をいう。

著作物等、著作権等を有する者その他政令で定める事項を特定する情報

著作物等の利用を許諾する場合の利用方法及び条件に関する情報

他の情報と照合することによりイ又はロに掲げる事項を特定することができることとなる情報
 
二十二 国内 この法律の施行地をいう。
 
二十三 国外 この法律の施行地外の地域をいう。
2 この法律にいう「美術の著作物」には、美術工芸品を含むものとする。
3 この法律にいう「映画の著作物」には、映画の効果に類似する視覚的又は視聴覚的効果を生じさせる方法で表現され、かつ、物に固定されている著作物を含むものとする。
4 この法律にいう「写真の著作物」には、写真の製作方法に類似する方法を用いて表現される著作物を含むものとする。
5 この法律にいう「公衆」には、特定かつ多数の者を含むものとする。
6 この法律にいう「法人」には、法人格を有しない社団又は財団で代表者又は管理人の定めがあるものを含むものとする。
7 この法律において、「上演」、「演奏」又は「口述」には、著作物の上演、演奏又は口述で録音され、又は録画されたものを再生すること(公衆送信又は上映に該当するものを除く。)及び著作物の上演、演奏又は口述を電気通信設備を用いて伝達すること(公衆送信に該当するものを除く。)を含むものとする。
8 この法律にいう「貸与」には、いずれの名義又は方法をもつてするかを問わず、これと同様の使用の権原を取得させる行為を含むものとする。
9 この法律において、第一項第七号の二、第八号、第九号の二、第九号の四、第九号の五若しくは第十三号から第十九号まで又は前二項に掲げる用語については、それぞれこれらを動詞の語幹として用いる場合を含むものとする。


あまりにも長いので、逐条ではなく節毎に見ていきたいと思う。

著作権法 第1章総則 第1節通則 第1条 目的

この法律は、著作物並びに実演、レコード、放送及び有線放送に関し著作者の権利及びこれに隣接する権利を定め、これらの文化的所産の公正な利用に留意しつつ、著作者等の権利の保護を図り、もつて文化の発展に寄与することを目的とする。

著作権は「無体財産権」であり、「知的財産権」と呼ばれる。
財産権の保護に関しては憲法29条に定められている。
1.財産権は、これを侵してはならない。
2.財産権の内容は、
公共の福祉に適合するやうに、法律でこれを定める。

その内容を詳述しているのが第2条以降だ。

ちなみに、WIPOのConvention de Berneでは第1条はこのようになっている。

Article premier
Constitution d’une Union

Les pays auxquels s’applique la présente Convention sont constitués à l’état d’Union pour la protection des droits des auteurs sur leurs œuvres littéraires et artistiques.
本条約が適用される国は、それらの国の「文学及び芸術作品」について作者の権利の保護のための同盟を形成する。

毎度毎度読むたびに思うのだが、普通に仏語を読むと「文学及び芸術作品」と訳せるのに、どうして「文学的及び美術的著作物」という妙な訳語にしてしまうのだろう?
第2章でも大きく逸脱した誤訳とでも言いたいような記述が現れる。

自己紹介

自分の写真
著作権業界に居るものです。この度著作権法をきちんと勉強したく、Blogを作りました。